2010年度取材

友添 秀則 教授
スポーツ教育学・倫理学研究室
(スポーツ科学部 スポーツ教育コース)
所在地:所沢キャンパス
http://www.f.waseda.jp/tomozoe/

スポーツを教える、スポーツを伝える、スポーツを考える

 「スポ科」の愛称で呼ばれるスポーツ科学部。いろんな競技の有名選手も多く在籍していますが、実は、スポーツ経験はなくても大丈夫なのです。「スポーツをプレーするということは、スポーツとの関わり方の中のひとつでしかないというのが、スポーツ科学部の設立時に最も考えたこと。見たり、支えたり、調べたり、創造したりという関わり方が、プレーする以上に大事なんです」と、友添先生。実際ゼミ生には日本のトップレベルの競技者もいれば、高校で運動部に入ったりはしていなかったけれど将来スポーツビジネスに関わりたいという人もいて、それぞれの視点を持って勉強しています。大きく分けて、将来保健体育の先生になりたい人、ジャーナリストなど、広くスポーツと関わる仕事につきたいという人がいるそうです。

 中学校のときの先生の影響で、保健体育の先生になることを目標にスポ科に入ったという町野さんは、このゼミを志望した理由をこう語ります。「私はソフトボールに打ち込んできたんですが、勉強するうちにスポーツの持つマイナスの面にも目を向けるようになり、スポーツと教育について自分の中でしっかり固めないと先生にはなれないと考えてこのゼミに入りました」。マイナス面とは、たとえば戦争に利用されてきた歴史、ドーピングの問題、そして勝利至上主義など。「あんまり勝つことに汲々としたり、『何かのために』と手段化してしまったときに、スポーツというのは間違った方向に行くのかもしれません。スポーツを考えることは社会を考えることだともいえるでしょう」(友添先生)。

この日のゼミは、なぜか各ゼミ生の出身地の「お国言葉」の話で盛り上がっていました。「スポーツとナショナリズム」が、本日のテーマだったのです。

スポーツをやる側、支える側が一緒に学ぶことで
おもしろいものを生む

 一方、スポーツビジネスに関心を持つ二宮さん。現代スポーツの「勝つか負けるか」「儲かるか儲からないか」という単純化された判断基準に疑問を持ち、「人間とは何か、スポーツとは何かということを掘り下げる必要性を感じて」志望したそうです。「スポーツで『金儲け』することの意味について、根本的なところまで戻って考えることが、将来スポーツのビジネス、マーケティング、マネージメントを仕事にしていく上で有効なのではと考えたんです」。二宮さんも、町野さんと同じく「スポーツのマイナス面」に向き合うことの重要性を感じているのですね。先生も、「現状の体育やスポーツのあり方について満足するのではなく、どんな問題があるのかということを客観的に意識できる人」に、このゼミに入ってきてほしいと語ります。
 ゼミは、テキストを分担して読んでプレゼンすることを柱に進みます。夏には、全国の小・中・高校などの体育の先生が集まる「体育授業研究会」に参加し、全国の先生方と3日間カンヅメになって授業づくりを行うという、実践的なアクティビティも。ここで知り合った先生とメールでやり取りをしながら卒業研究につなげることも多いとのこと、現場の空気を生で感じながらの研究ができるのも魅力的です。

 ゼミの方針のひとつに「自由にしゃべること、自分の思っていることをみんなとしゃべること」があります。小さい頃から勝つことを目的に努力を重ねてきた人と、自分でプレーする以外の方向でスポーツに興味を持っている人。スポーツに対する感性がまったく違うもの同士が、自由に意見を言い合うことで認め合い、吸収し、共振する。この多様性が友添ゼミ、早稲田のスポーツ科学部のおもしろいところで、新しいものを生み出す土壌になっているのです。

がっしりと大柄な友添先生は、柔道の選手だったそうです! 「気は優しくて力持ち」タイプで、ついて行きたくなりますね。


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