
樋口 清秀 教授
樋口ゼミ(国際教養学部 上級演習)
所在地:早稲田キャンパス11号館
樋口先生の研究分野は、経済動学、進化経済学、複雑系経済学と、なにやらフクザツですが・・・。
「技術革新によって、社会・組織・経済構造がどのように変化していくか。それが経済動学という考え方です」
企業が永続していくためには、新しい製品を生み、新しい技術を学び、新しいマーケットを開拓していかなければならない。ヨーゼフ・シュンペーターが構築した「イノベーション」理論をベースにした経済学が、樋口ゼミのテーマです。
コンピュータやスマートフォンの技術革新が社会構造や人の行動を変えていく現場は、まさに私たちが日々体感している現実そのものです。
「ただし、社会はそれほど単純ではありません。例えば高田馬場のラーメン屋。相手を蹴落として一人勝ちしようとすると孤立してしまう。お互いに納得して共存共栄することでお客さんを多く集めて利益を分け合う。これが『ゲーム理論』です」
先生の歯切れのいい解説が、難しそうに思えた最先端の経済学をより身近なものにしてくれます。
議論が行き詰まると、樋口先生自ら壇上に駆け寄り、身振り手振りを交えて明快な指摘とアドバイスをくれます。
ゼミのメンバーは3年生20人、4年生20人。3年生の9月に行なわれるゼミ選抜の面接は、先輩の4年生が担当するとか!? 人気ゼミだけに応募者は毎年50人以上。そこから20人を選ぶ仕事は責任重大です。
「4年生には、わざと意地悪な質問をするように指示を出したりします(笑)。その後、4年生と3年生がいつも行動を共にし、自分たちのゼミだという意識・責任感を持ってもらいます。いつもゼミ生に『私のゼミではなく、君たちのゼミだ』と言い聞かせています。こうした経験からか、就職・進学もスムーズに決まります」
そして、毎週金曜日4時半からスタートする合同ゼミは、みっちりと9時まで続きます。
「3年生は、先輩の発表を全部聞くように指導しています。自分たちの発表は、その後です」
これは、かなりのスパルタ・ゼミ・・・。しかし、厳しいだけではないのがいいところです。ゼミ終了後には、全員で近くの食堂に場所を移して“第二部”がスタート。どうやらこの席では多少お酒も入り、さらに親交が深まる模様です。
「合計40人のゼミは人数が多すぎると指摘されることもあります。でも、学生に自主性を持ってしっかり学ぶ意識があれば、まったく問題はありません」
自分の価値をはっきりさせ、他人と差別化する。その方法を徹底的に教えてくれる、なんとも心強いゼミなのです。
厳しさと仲のよさが同居する教室。
あくまでも学生の自主性を重んじるのが樋口先生の方針です。

樋口ゼミは、国際教養学部3年生後期から4年生を対象に開設されています。ゼミでの発表、卒業論文は、英語と日本語から生徒が選ぶことができます。4年生によるゼミ生選抜面接、卒業論文のテーマを決める合同合宿、OBも参加して開かれる飲み会など、先輩後輩のつながりの深い、大きな家族のようなゼミです。
しかし、研究に関してはビシビシと厳しく鍛えられます。クリスマス時期の合宿では、3年生は早くも卒論のテーマを決定します。それも、「ただ○○をやりたい」ではダメ。きちんとした先行研究が求められ、それが甘いと朝まで寝かせてもらえないとか。漠然と提出された研究テーマは、あっさりと却下されるそうです。自分の成長度が実感できる人気ゼミです。
4年・三橋 理奈さん
4年・長牛 亮さん
『日本経済の底力』戸堂 康之著(中公新書)
東日本大震災以後の日本をどのように立て直すかを産業の復興視点から明快に論理展開しています。
『モダンの脱構築』今田 高俊著(中公新書)
情報化が進む産業社会の進化について考える格好の書です。
『複雑な世界・単純な法則』マーク・ブキャナン/坂本 芳久訳(草思社)
「世間は狭い」とはよく言われるが、複雑な社会も最先端のネットワーク科学を使うと単純な法則で捉えられることがわかります。本書は情報化が進む経済社会にあってネットワーク科学の大切さを学ぶことができます。