2009年度取材

若林 幹夫 教授 [博士(社会学)]
若林研究室(教育・総合科学学術院)
所在地:早稲田キャンパス16号館

研究テーマには“愛”が必要!

 高校までの学科にはない「社会学」。ゼミではどんな研究をしているのでしょうか? 「ゼミで何をやっているか説明するのは難しいです。みんな違う研究をしてるから・・・。だから、あくまで例えばですけど、ぼくのテーマは『都市的アイデンティティ』です。都市のような周りの環境が、人間の内面にどう影響するのかを、小説やドラマ、映画などを手掛かりに考えています。」(修士1年・山口 朋彦さん)
 どんな映画を題材に? と聞くと「今は『男はつらいよ』とか」。寅さんと社会学、ちょっと変わった取り合わせのような気がしますね。
 若林先生は「社会学は、広く言えば、お互い他人でしかない人と人が集まったときに生ずる、かかわりやつながりを読み解いていく学問です。」と言います。「もともと、あまり枠にはまった学問ではない。はめてしまうと面白くないしね。ドラマや映画など、一見すると社会学じゃないようなものも扱うし、テーマは本当にひとりひとり、まったく違いますよ」。
 ゼミ生は各自で研究を進めながら、年に4~5回、皆の前で成果を発表。発表の際には先生のアドバイスを受けたり、学生どうしで議論をしたりしますが、ゼミの基本は「自立した研究者の卵として、研究を助けるだけ」なのだそうです。

 「研究って大変だから、続けるには個人のモチベーションが大事です。テーマに対する問題意識と、それへの“愛”か“怒り”がないとやっていけない。だから大学院ではこちらからテーマを与えてもダメ。きみ、あの人を愛しなさいって言われて愛せるものじゃないでしょ?(笑)」と若林先生。
 なるほど、逆に言えば、これをやりたい! という“愛”か“怒り”があれば、どんなテーマにも取り組めそうです。

修士1年・山口 朋彦さん

この先生が早稲田にいる!

 修士1年の平沢 桂さんは、学部生のときは社会学が専攻ではなかったのだそう。「学部生のときはあまり勉強してなかったから、このまま卒業したら大学で何を学んだのか、よくわからなくなってしまう気がしました。それで、2年くらいは一所懸命勉強してみたいと思って、大学院に進むことを決めました。もっと早く気がつけ!という感じですけど(笑)」。
 このゼミを選んだのは「『熱い都市 冷たい都市』『都市のアレゴリー』などの、若林先生の本を読んで、こんな見方もあるんだ! と感動したからです。この先生が早稲田にいると知って、会いたくなって」。
 実際に指導を受けてどうでしたか? と聞くと「やっぱりすごい先生でした。発表をするたびに、新しい視点を提案してくれるんです。とても引き出しの多い先生だと思います」。
 「実は私も大学生のときは社会学専攻ではなかった」と若林先生。先生の“引き出しの多さ”は、さまざまな分野を歩いてきた経歴にもあるのかもしれません。

 このゼミには、平沢さんのように他学科から進学してくる人もいれば、一度社会に出てから入学する人も多いそうです。現役の高校の先生が入学してくることもあるのだとか。
 ひとりひとり違う経歴と研究テーマを持ちながら、若林先生を慕ってやってきて、社会学というフィールドで学び合う。大学院のゼミは、そんな「研究者の卵」たちの集まりなのです。

修士1年・平沢 桂さん

この日のゼミの発表は修士1年・浅川 雄一さん。
分厚い資料を配って説明中。


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