
岡 芳明 教授
岡研究室(先進理工学研究科 共同原子力専攻)
所在地:西早稲田キャンパス51号館
http://www.f.waseda.jp/okay/
2011年3月11日、未曽有の大震災から起こった原発事故。原子力の領域は今後どうなっていくのかと疑問を持ちつつ、岡研究室を訪ねました。
「原子力は地球温暖化ガスを放出せず、大量に電気を供給できる特徴があるので、世界におけるその役割はあまり変わらないんです。また、原子力の分野というのは、エネルギーだけじゃない、サイエンスと工学が結びついた領域なんですよ」と岡先生。「たとえば放射線加速器というのがあって、放射線で食品を殺菌できるんです。これが普及すれば食肉の中毒なんかは起こらなくなるんですが、これも原子力分野の装置です。この加速器や、核融合、レーザーなどは実は、物理学と電気工学とか、量子力学とかを複合してできてきた学問の成果なんですよ」。原子力といえばエネルギーと考えがちですが、多くの分野の集大成となる学問でもあるんですね。
また、岡研究室の半分くらいの人が取り組んでいるのが粒子法という、「計算科学」のひとつの分野です。実験を実際に行わなくても、計算によるシミュレーションで実証するための方法を開発するということですが・・・。「この『計算科学』も原子力分野から始まった分野で、実験・理論に次ぐ第三の手段といわれています。地球シミュレータや宇宙航空ももともとは計算科学なんです」。研究室では、計算法を手段とした原子炉の研究のほかに、計算法自体の研究も行っているとのこと。
ホームページには粒子法の動画が掲載されています。これは沸騰のシミュレーション映像。
ゼミでは単に進捗を発表するだけではなく、人に理解してもらうことを考慮しなければなりません。
このように原子力分野は、まわりの分野を集めて新しいものを作る総合工学。なので、理工学を広く勉強したい人に向いている分野なのだそうです。

研究の基礎となる原子炉物理学(中性子と物質の相互作用→原子炉の静特性および動特性)を中心に、研究テーマによって熱流動や制御工学などを学んでいきます。 広範な原子炉分野をカバーし、そのつながりを理解しながら研究できる研究室で、研究では数値解析・シミュレーションを行うので、プログラミングなどにも自然と強くなります。
修士2年・白水 美帆さん
修士2年・井上 隆史さん
岡研究室は、まず大きなテーマでグループに分かれ、これに関連したさまざまな研究を興味に合わせて個別に行う、という方式を取っています。たとえば修士2年の井上隆史さんは新型原子炉の運転のシミュレーション(設計)、同じく修士2年の白水美帆さんは新型原子炉の安全性のシミュレーション。設計したら安全の解析、とお互いの研究を積み重ねていくことで大きな成果を出すのだそうです。
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| ある修士2年生は、英語で書かれた論文の説明。アメリカの原子力学会に発表に行く原稿なのだそう。もともと原子力は国際性のある分野で、共同原子力専攻の目的の一つは世界に通用する学生を育てること。優れた成果を上げた学生には、世界に打って出るチャンスも大きいのです。 | 先生のお人柄はと尋ねると真っ先に「厳格な人です」! でも紳士的で、就職活動を気にかけてくれるなど、学生を気遣ってくれる先生で、一見厳しそうなところとのギャップがよい、との評でした。 |
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ゼミでは、各自の研究の進捗や経過を発表しますが、先生からびしびしと質問が。こんなふうに、毎週自分の研究の進捗状況を発表しなければならないとはプレッシャーですね! 「ええ、でもまあ、そのうち慣れてくるんですけど(笑)」(井上さん)――この境地に至るまでは、相当がんばってきたことがうかがえますね。
研究室の特徴のひとつに、実習・インターンシップ・見学会が豊富ということがあります。燃料を作るところ、プラント工場、発電所、燃料処理施設にインターンシップや企業見学。勉強と産業が結び付いた研究室なので、社会に直接貢献できる研究に携われるのも魅力です。
もうひとつ、と井上さんが付け加えます。「原子力発電所には構造とか土木・建築の専門家、電気、核反応、廃棄物処理など化学の専門家などいろいろな専門家が必要で、だから大学院の原子力専攻というのはいろんな学部・専攻の人が集まってくる。いろんな切り口があって複合的であることも魅力のひとつだと思います」
岡研究室のホームページには「研究室への見学はいつでも大歓迎です。みんな優しいので気軽に訪問してください」とあります。応用物理やエネルギー、計算科学に興味のある人は、入学したら訪ねてみてはいかがでしょうか。