2011年度取材

数少ない学生短歌サークルのひとつ、早稲田短歌会。
ルーツをたどれば90年以上の歴史の中で、
数多の著名な歌人を輩出してきました。
そして現在も、歌壇の新たな風となるべく精力的に活動しています。

徹底的にぶつかりあって、歌を磨き上げる

「短歌というと、今の若い人には馴染みが薄いようで、よく俳句とは違うのか、なんて質問をされてしまいます」と、幹事長の山中千瀬さんは笑いながら話してくれました。
 短歌とは5・7・5・7・7の31文字からなる定型詩。この31文字のリズムに魅せられた短歌会員たちは、よりよい歌を詠めるよう、日々真剣に言葉と向かい合っています。
 「普段は月に1回勉強会を、週に1、2回歌会を開催しています。勉強会では、司会を担当するものが1人の歌人について略歴を述べたのち、歌の鑑賞に時間を割きます。いい歌に触れ、自由に解釈を述べ合うんです」
 短歌を自分で読むだけでなく、さまざまな歌に触れ歌について話し合う中で、批評や解釈の方法も学んでいく。有名な歌人が詠んだ歌のみならず、短歌会員が詠んだ歌も同様に徹底的に批評しあいます。

「歌会ではそれぞれが匿名で歌を出しあい、その中から自分の気に入った歌に投票したのち、票が多かった歌について話し合います。投票した理由、感想や直したらいい点について意見を出し合う。自分の詠んだ歌を批評してもらうことは勉強になってありがたいですね」。反対にほかの人の歌を批評するときは、無責任なことは言えない、批評や解釈がひとりよがりになってしまってはいけない、と緊張するそうです。「言葉には好みの問題もありますからね。この音のリズムは気持ちがいい、とか、漢字とひらがなのバランスがいい、とか。そういうものは話し合っていて、難しいな、と感じます」。

歌会の様子。短歌会員の歌に対する真剣な表情がうかがえます。

 山中さんは日々、よりよい言語表現を求めて様々な芸術作品にふれているそう。また、日常生活の些細なことにもアンテナをはり、歌の元になるヒントを探しています。


勉強会や歌会では遠慮なしで批評しあう一方、活動外では非常に仲のいいサークルなのだとか。ビシビシ批評し合えるほど仲がよい、ということでしょうか。
 「言いたいことはきちんと言おう、という雰囲気があるので、ほんとうにみんな遠慮がないですね(笑)。でも、変に身内で褒めあうよりも、言いたいことを言いあえる仲のほうが、絆もつよいんじゃないかな」。そう言われてみると、歌会後の集合写真(ページ右上)の清々しい笑顔は、歌会が本音でぶつかり合った充実の時間であったことを物語っているように感じられます。
 元々短歌をやりたくて来る人が多い早稲田短歌会ではありますが、たまたまビラをもらって来てみたら、和気あいあいとした雰囲気が気に入ってそのまま入会してしまった、なんて人も結構いるのだそうです。「そういう短歌初心者の方が、短歌会に来て、短歌のおもしろさを知ってくれたら嬉しいと思います」。
 歌会のほかには、さまざまな場所へと足を運び、実際にそこで歌を詠んでいくという合宿も開催されます。ホームページでは会員作の短歌も公開されているので、現代の大学生による短歌世界をぜひ覗いてみてください。

アイスクリームをみんなで食べながら会員とすごす楽しい時間も、歌を作るには欠かせないものです。 合宿で触れる美しい自然。この風景から、彼らはいったいどのような歌を詠んでくれるのでしょうか。

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